クレジットカード会社は、どうやって儲けているのか?年会費無料でも成り立つ理由

年会費は無料。一括払いなら、買った金額をそのまま払えばいい。しかも、使うとポイントまで戻ってくる。

クレジットカードは、利用者の側から見ると少し不思議な商売です。

会社はカードを発行して、アプリを動かして、不正利用も監視している。そのうえ入会特典まで配って、どこで儲けているのでしょうか。

僕は最初、そもそも競争する場所が狭すぎないかと思いました。1人が普段使うカードは、せいぜい数枚ではないか。その限られた枠を、たくさんの会社で取り合っているように見えます。

調べてみると、鍵になるのは、カードの枚数だけではありませんでした。その1枚を通って、何度お金が動くのか。 そこに、カード会社の商売がありました。

自分が払っていない手数料を、お店が払っている

1万円の商品を、一括払いで買ったとします。後日、口座から引き落とされるのも1万円です。

ただし、お店が受け取る金額は、通常その1万円より少なくなります。カード決済を扱う会社へ「加盟店手数料」を払うからです。[1]

例えば、手数料を**仮に3%**とすると、計算はこうなります。

1万円の買い物金額
利用者が支払う代金10,000円
お店が受け取る金額9,700円
決済のための手数料300円

※ほかの費用を省いた説明用の例です。実際の手数料率は契約などで異なり、3%が一律の料金という意味ではありません。

つまり、利用者が一括払いをしていても、決済に伴う収入は発生します。

では、なぜお店はお金を払ってまでカードを使えるようにするのでしょうか。

手持ちの現金が足りない人にも買ってもらえる。ネット通販でも代金を支払ってもらいやすい。カードで払いたいお客さんを逃しにくくなる。お店には、こうした利便性や販売機会の拡大が期待できます。[2]

もちろん、導入すれば必ず手数料以上に売上が増えるわけではありません。お店にとっては、便利さと費用を見比べる選択でもあります。

その300円は、誰のものになる?

ここで、「カード会社が300円を丸ごと儲けた」と考えると、少し話がずれます。

カード決済には、主に三つの役割があります。[3]

役割主な仕事
カードを発行する会社入会審査、利用代金の請求、会員サービスなど
お店と契約する会社加盟店の管理、売上代金の精算など
国際ブランド多くの国やお店で決済できるネットワークやルールの提供

同じ会社が複数の役割を担うこともありますが、別々の会社の場合もあります。

お店が払った手数料は、お店と契約する会社だけの収入にはなりません。カードを発行した会社にも配分されます。VisaやMastercardなどを使う仕組みでは、この会社間の手数料を「インターチェンジフィー」と呼びます。[4]

さらに、決済ネットワークを使うための費用などもあります。配分や課金の仕組みはブランド・契約によって異なるため、先ほどの300円を、どのカードでも同じ割合で分けるとは言えません。

カードを使うと、利用者から見えないところでも会社同士の精算が動いている。 一括払いでカード会社に収入が生まれるのは、そのためです。

でも、ポイントまで返して大丈夫なのか

例えば1万円の買い物で、100円分のポイントが付いたとします。

先ほどの例と合わせると、「300円もらって100円返すから、200円が利益」と思いたくなります。でも、300円の全額が発行会社に入るとは限りませんし、ポイント以外にも費用があります。

決済システムを動かす費用、問い合わせ対応、不正利用対策、カードの発行費用。立て替えなどに必要なお金を調達する費用や、利用者から代金を回収できなくなるリスクもあります。[3][4][5]

収益を考えるには、受け取った手数料から、こうした費用を差し引く必要があります。

そのうえでポイントを用意するのは、買い物のときに、そのカードを選んでもらう理由になるからです。

財布に3枚あっても、毎月の支払いが集まるカードと、ほとんど使わないカードでは、決済に伴う収入が違います。カード会社の側から見ると、発行した後にも「使ってもらう」という競争が続いています。

入会特典も、この仕組みから考えると理解しやすくなります。最初に費用をかけてでも、その後の継続利用につなげたい。ただし、何年で特典の費用を回収できるのか、全員から利益が出るのかは、公開情報だけでは一律に言えません。

また、楽天カードのように、グループ内の買い物や銀行など、複数のサービスを一緒に使ってもらう役割を掲げる会社もあります。カード単体に加えて、グループ全体の利用につながることにも意味があるのです。[6]

一括払い以外にも、収入の入口がある

カード会社には、利用者側から受け取る収入もあります。[2]

収入の種類どんなときに発生するか
年会費年会費のあるカードを保有するとき
分割払い・リボ払いの手数料手数料のかかる支払方法を利用するとき
キャッシングの利息カードを使ってお金を借りるとき

ここで分けたいのは、買い物代金そのものと、手数料です。

1万円を使った人が、後から1万円を返しても、その1万円が丸ごと儲けになるわけではありません。お店への支払いに対応する代金を回収したことになります。

分割・リボ払いでは、それに手数料が加わります。キャッシングでは、貸したお金に対する利息が収入になります。どちらも資金調達や回収の費用・リスクがあるので、受け取った額がそのまま利益ではありません。[2][5]

「カード会社はリボ払いで儲けている」という説明を見かけますが、それだけで仕組み全体を説明することはできません。一括払いでも決済手数料の収入はあり、どの収入がどれほど重要かは会社によって異なります。

数枚しか持たなくても、支払いは毎月続く

ここで、最初の疑問に戻ります。1人が使うカードが数枚でも、本当に大きな商売になるのでしょうか。

例えば、ある人が1枚のカードで毎月10万円を払い、それが1年続けば、年間120万円の決済になります。会員数が変わらなくても、現金で払っていた買い物をカードへ移せば、カードを通る金額は増えます。

経済産業省が公表した2025年のクレジットカード決済額は、134.6兆円でした。これはカード会社の売上や利益ではなく、カードを通じて支払われた金額です。[7]

この数字を見ると、取り合っているものの大きさが少し違って見えます。

カード会社が欲しいのは、財布の中の場所に加えて、日々の支払いです。食料品、ネット通販、通信費などが、同じカードを通って何年も流れてくる。1枚から生まれる取引は、1回では終わりません。

とはいえ、会社が必ず生き残れる商売でもありません。実際、OMCカードなど3社は2009年に合併してセディナとなり、その後の再編を経て、2024年には三井住友カードへ統合されています。合併と倒産は別ですが、昔の会社がすべて独立したまま残っているわけではありません。[8]

余禄――カードの名前と、発行会社は同じとは限らない

調べていて、もう一つ気になったことがありました。

お店や航空会社の名前が付いたカードでも、その会社が自分でカード事業のすべてを行っているとは限りません。

例えば、Amazon MastercardやANAカードには、三井住友カードが発行するものがあります。異なる名前のカードを比べていても、発行元を見ると同じ会社につながることがあるのです。[9]

年会費無料のカードを見て、最初は「どこからお金が入るのだろう」と思っていました。

その答えの一つは、毎回の買い物にありました。自分には商品代金とポイントしか見えていなくても、その裏では、お店といくつもの会社の間でお金が動いている。

今度カードを選ぶときは、還元率だけでなく、「これは誰が発行しているのだろう」と裏面も見てしまいそうです。


参考資料

情報確認日:2026年9月29日。日本の一般的なクレジットカード決済を中心に説明しています。3%の計算と月10万円の利用例は、実際の平均値・企業の利益率を示すものではありません。

  1. JCB「店頭販売加盟店のご契約」:加盟店手数料を差し引いて売上代金を振り込む仕組み。https://www.jcb.co.jp/merchant/new-comer/entry/shop/
  2. JCB「クレジットカードの手数料とは?利用者が負担する費用を解説」:加盟店・利用者の手数料、年会費、分割・リボ・キャッシング。https://www.jcb.co.jp/ordercard/special/creditcard_handling_charge.html
  3. JCB「ブランド事業」:発行会社・加盟店契約会社・ブランドの役割と、JCBの国内手数料配分。JCBの配分例を業界全体の共通ルールとして扱っていません。https://www.global.jcb/ja/about-us/business-area/brand/
  4. 経済産業省「最近の加盟店手数料の低減に向けた取組(インターチェンジフィーの公開)」:会社間の手数料と決済関連費用。https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/distribution_industry/pdf/006_04_00.pdf
  5. 楽天カード「第26期 有価証券報告書(2025年1月1日~12月31日)」:事業等のリスク、資金調達、貸倒関連費用、金融費用。https://static.card.jp.rakuten-static.com/card_corp/pc/pdf/contents/corporate/ir/securities_info/sec_2025_01-12.pdf
  6. 楽天カード「楽天カードについて」:取引に伴う手数料収入とグループサービスの併用促進。https://www.rakuten-card.co.jp/corporate/career/graduates/company/
  7. 経済産業省「2025年のキャッシュレス決済比率を算出しました」:2025年のクレジットカード決済額。https://www.meti.go.jp/press/2025/03/20260331006/20260331006.html
  8. 三井住友カード「沿革―旧SMBCファイナンスサービス株式会社」「三井住友カードとSMBCファイナンスサービスの合併について」:企業再編の経緯。https://www.smbc-card.com/company/info/enkaku_history.jsp / https://www.smbc-card.com/company/news/news0001901.jsp
  9. 三井住友カード「口座から引き落としがありましたが、何の請求かわかりません。」:提携カードと実際の発行元。https://faq-memfs.smbc-card.com/–69858c73aa55db526db16b23

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余禄log 管理人
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