リボ払いは、なぜあれほど儲かるのか?毎月払っても残高が減りにくい理由

「毎月1万円払っているのに、どうして残高がなかなか減らないの?」

リボ払いの話を聞くと、ここが気になります。支払っているのだから、そのぶん減っているはず。それなのに、いつまでも終わらないように感じるのはなぜでしょうか。

前の記事では、クレジットカード会社がどこから収入を得ているのかを調べました。一括払いでも、お店が払う手数料などが収入になります。

では、リボ払いにすると何が変わるのか。

鍵は、毎月払う金額と、買い物代金の残りが減る金額は、同じではないということでした。

「手数料」は、一度払えば終わるお金ではない

今回扱うのは、買い物代金を後から払う「ショッピングリボ」です。現金を借りるキャッシングとは区別します。

リボ払いでは、まだ支払っていない買い物代金を「残高」としてまとめ、契約で決めた方法に従って返していきます。そして、その残高に応じて手数料が発生します。[1]

手数料という名前から、振込手数料のような「手続き1回につき何百円」を想像すると、仕組みをつかみにくくなります。

ショッピングリボの手数料は、経済的には、代金の支払いを先へ延ばすための費用と考えると分かりやすい。残高がどれだけあり、どれだけの期間残るかで、金額が変わるからです。

実際、三井住友カードは、残高に実質年率と日数を掛けて計算する方法を案内しています。残高が変わらない期間なら、基本形は次のようになります。[2]

手数料 = 対象の残高 × 実質年率 × 対象日数 ÷ 365

うるう年は366日とするなど、細部は契約によります。途中で残高が変われば、期間を分けて計算します。

実質年率は、負担の割合を1年単位で表した数字です。大手の公式案内には15〜18%程度の設定が見られますが、一律ではありません。2026年9月確認時点では、楽天カードは券種により15.00%または17.64%。三井住友カードでは対象カードの新規設定などについて18.0%が案内され、以前からの契約やカードの種類による違いもあります。[2][3]

以下では仕組みを追いやすくするため、年率15%を12で割り、毎月1.25%の手数料が発生する説明用モデルを使います。特定のカードの請求額を再現するものではありません。

同じ「毎月1万円」でも、中身が違う

そもそも、一括払い、分割払い、リボ払いは、何を先に決めるかが違います。[1][4]

支払方法基本的な考え方
一括払いその買い物代金を、所定の支払日にまとめて払う。通常、利用者の支払手数料はかからない
分割払い買い物ごとに「何回で払うか」を決める。手数料は回数・契約による
リボ払い利用分を残高にまとめ、毎月の支払額を決めるルールに沿って払う。完済時期は残高や追加利用で変わる

さらに、リボ払いの中でも「何を一定にするか」が違います。

元金とは、まだ返していない買い物代金そのものです。

元金定額方式では、例えば「元金を毎月1万円ずつ減らし、手数料は別に払う」と決めます。最初の残高が30万円なら、今回のモデルでは初回の支払いは1万3,750円です。

一方、元利定額方式では、「手数料を含め、合計で毎月1万円払う」と決めます。同じ残高なら、初回の1万円のうち3,750円が手数料なので、元金は6,250円減ります。[5]

「毎月1万円」と書いてあっても、口座から出る総額を指すのか、元金の返済額だけを指すのかで違うのです。

この区別とは別に、残高に応じて設定額が段階的に変わる残高スライド方式もあります。残高が多い間は設定額が高く、減ると設定額も下がる、といった仕組みです。手数料を内側に含めるか、外側に加えるかと併せて確認する必要があります。[1][3]

30万円を、手数料込みで月1万円ずつ払うと

では、実際に数字を追ってみます。

条件は、元金30万円、年率15%、毎月の支払いは手数料込みで1万円。追加の買い物や延滞はなく、初回から1カ月分の手数料がかかるものとします。

毎月、支払前の元金に1.25%を掛け、手数料の1円未満を切り捨てます。最後の月だけ、残った元金と手数料を払って終了です。

最初の月は、次の順番になります。

順番お金の動き
① 残高を確認300,000円
② 手数料を計算300,000円 × 1.25% = 3,750円
③ 1万円を支払う手数料3,750円と、元金6,250円に充てる
④ 元金が減る300,000円 − 6,250円 = 293,750円
⑤ 翌月へ残った293,750円をもとに、次の手数料を計算する

この繰り返しです。

支払回支払額うち手数料減る元金支払後の元金残高
1回目10,000円3,750円6,250円293,750円
2回目10,000円3,671円6,329円287,421円
3回目10,000円3,592円6,408円281,013円
12回目10,000円2,834円7,166円219,616円
24回目10,000円1,682円8,318円126,310円
36回目10,000円345円9,655円18,004円
38回目・最終8,331円102円8,229円0円

※途中の回を省略。余禄logによる上記条件での計算。実際の請求額は、日割り計算、締め日、初回の扱い、端数処理などで異なります。

完済まで38回、約3年2カ月。手数料の合計は78,331円、支払総額は378,331円となりました。

1年間で12万円払っても、元金は約8万円しか減っていません。差額の39,616円は、その間の手数料です。

もちろん、元金は減っています。残高が小さくなるにつれて手数料も減り、同じ1万円のうち元金に回る額が増えていきます。それでも、「30万円を月1万円なら30回」という計算にはならないのです。

ちなみに、元金を毎月1万円ずつ返して手数料を別に払う方式なら、同じモデルで30回、手数料は58,125円です。こちらは毎月の支出が当初から大きいので、返済も早く進みます。名前だけでなく、実際にいくら払う条件なのかが大切です。

払っている途中で、また買い物をすると?

ここまでは、追加で一切使わない場合でした。

では、毎月1万円を払った直後に、6,250円の買い物をリボ残高へ追加したらどうでしょうか。

先ほどの初回では、元金が6,250円減って293,750円になりました。そこへ6,250円を足すと、残高は再び30万円です。

この単純化した条件を毎月繰り返すと、1年で12万円払っても、残高は30万円のままです。内訳は、手数料が年間45,000円、元金の返済が75,000円。ただし、同額の75,000円を新たに使っています。

「毎月1万円も払っている」という実感と、「残高が減っていない」という明細が、同時に成り立ちます。

残高を減らすには、支払額が新しい買い物額を上回るだけでは足りません。手数料も含めて考える必要があります。国民生活センターも、追加利用によって支払いが長期化し、手数料が増える点を説明しています。[6]

なお、この例は手数料を元金へ足して、その手数料にもまた手数料を掛けた計算ではありません。毎月の手数料をその都度払い、新しい買い物によって元金が戻る仕組みです。リボ払いの長期化を、何でも「複利だから」で片付けると、この部分が見えなくなります。

利用者の「残り」は、会社の継続収入になる

ここでカード会社の側から見てみます。

利用者が払った1万円のうち、元金に当たる部分は立て替えた代金などの回収です。丸ごと売上や利益になるわけではありません。一方、手数料は収入になります。

楽天カードの有価証券報告書にも、加盟店からの手数料に加え、利用者からリボ払い・分割払いの手数料を得ることが記載されています。リボ払いなどの手数料は、残高に応じて、対象期間の利息収益として認識する説明になっています。[7]

一括払いでは、通常、利用者は所定の日に買い物代金を払って終わります。リボ払いでは、その後も残高が残り、手数料のかかる期間が続きます。

利用者には「まだ返し終わっていない30万円」ですが、会社には「手数料収入の計算対象になる30万円」でもある。新たな買い物がなくても残高があれば収入が生じ、追加利用で残高が維持されれば、その計算対象も残ります。

リボ払いが継続的な収益になる中心は、決済した瞬間だけでなく、残高が残る時間にも収入が発生することです。

ただし、年率15%を受け取るから、会社の利益率も15%という意味ではありません。資金調達の利息、システムや事務の費用、代金を回収できない損失などを負担しています。高い手数料収入と、高い利益は区別が必要です。[7]

「どの会社でも、リボ払いだけで必ず大儲けできる」とまでは言えません。ここで分かるのは、残高と期間が、継続収入につながる構造です。

先に元金を減らすと、その後の手数料も変わる

この仕組みは、逆から見ることもできます。

手数料のもとになる残高を早く減らせば、その後の負担も減ります。毎月の支払いを増やしたり、残高の一部・全部を繰り上げて返したりする方法です。[2][8]

先ほどの30万円・年率15%のモデルで、最初から手数料込みの月2万円にすると、完済まで17回。手数料は34,311円、総額334,311円になります。月1万円の場合より、手数料が44,020円少なくなります。

全額を繰り上げ返済する場合も、すでに発生した手数料まで消えるわけではありません。返済日までの手数料や振込費用、手続きの方法は、カード会社の条件で確認する必要があります。

また、自動リボの設定を解除することと、すでにある残高を返すことは別です。設定を解除しても、それ以前の残高と支払いは残ります。[8]

リボ払いは、当面の支払額を抑えられる商品です。ただ、その月に払わなかった元金は、その後へ持ち越されます。見るべきなのは月々の金額だけでなく、「元金はいくら減ったか」「いつ払い終わるか」なのでしょう。

余禄――年率15%は、どれほど大きいのか

毎月払っていても残高が減りにくい理由を追うと、リボという名前より、残高・料率・時間の組み合わせが気になってきます。

手数料が引かれ、残った分で元金が減る。返し終わらない元金には、次の期間の手数料がかかる。その途中でまた使えば、終わりは遠くなります。

リボ払いを理解すると、結局ひとつの数字に行き着きます。それが、負担を年単位で表す「金利」です。ショッピングリボでは手数料率として表示されますが、残高と時間に応じて支払額が変わる点に注目すると、借入金の利息ともつながります。

では、年率15%とは、実際どれほど大きな数字なのでしょうか。
気になる方は下記記事も見てみてください。

年率15%は、なぜ借金をなかなか減らさないのか?

参考資料

情報確認日:2026年9月29日。本文はショッピングリボの仕組みを説明するもので、特定のカードや借換商品を推奨するものではありません。

  1. 日本クレジット協会「リボ払いの特徴と利用上の注意」「クレジットの支払方式の種類」。残高、定額方式、残高スライド方式、分割払いとの違い。
  2. 三井住友カード「リボ払い」「リボ払い手数料率改定のご案内」。日割り計算、18.0%と従前契約等の条件、繰上返済。
  3. 楽天カード「リボ払い」。券種別の実質年率15.00%・17.64%、元金と手数料、残高スライド方式。
  4. 楽天カード「分割払いとリボ払いの違いとは?」/JCB「クレジットカードの手数料とは?利用者が負担する費用を解説」。一括・分割・リボの区別。
  5. JCB「リボ払いとは?仕組みや手数料の計算方法とデメリットをわかりやすく解説」。元金定額・元利定額の区別。金融商品の広告も含むため、制度説明部分のみ参照。
  6. 国民生活センター「【リボ払い】毎月返済しているが、残高が減らない。対処方法を知りたい。」/「利用明細は必ず確認!意図せぬリボ払いに注意」。追加利用、長期化、明細確認。
  7. 楽天カード「第26期 有価証券報告書(2025年1月1日~12月31日)」。「収益」の包括信用購入あっせん収益、事業等のリスクの信用リスク・資金調達に関する記載。リボ手数料の収益認識と、収入から費用を区別する根拠。
  8. 国民生活センター「【リボ払い】クレジットカードのリボ払いを解除したのに、翌月もリボ払いが続いていた。対処方法を知りたい」/三井住友カード会員規約(全額・一部繰上返済の記載)。自動リボ解除と既存残高、返済日までの手数料。
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この記事を書いた人

余禄log 管理人
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歴史、文化、生き物、科学、心理などジャンルは気分次第。
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