毎月、ちゃんと返している。それなのに、残高を見たら思ったほど減っていない。
リボ払いの仕組みを調べていると、この疑問に行き着きます。支払っているお金は、どこへ行っているのでしょうか。
そこで気になるのが、「年率15%」という数字です。
100万円なら、15万円。計算自体は簡単そうです。でも、毎月返している場合は? 何年もかかった場合は? 「複利で借金が膨らむ」と聞くけれど、それも同じ話なのでしょうか。
今回は100万円を例に、金利と時間の関係を追ってみます。
年率15%は、「毎年15万円を上乗せする」という意味ではない
借りたお金のうち、まだ返していない本体を「元金」、そのお金を借りていることに対して支払う金額を「利息」といいます。金利は、利息を計算するための割合です。
年率15%なら、元金100万円が一年間ずっと残っている場合、利息は15万円になります。
ただし、途中で元金を返せば、その後の利息も小さくなります。最初に借りた100万円に、完済まで毎年ずっと15万円がかかるわけではありません。
三井住友銀行が案内するカードローンの計算も、借入額と年利率、利用日数を使う日割り計算です。[1]
利息 = 借入残高 × 年利率 ÷ 365 × 利用日数
例えば100万円を年率15%で30日間借りると、計算上の利息は約1万2,329円。元金が50万円なら、同じ期間の利息も半分になります。
見るべきなのは、最初にいくら借りたかだけではありません。いくら残っていて、それがどのくらいの期間続くのか。 そこに利息がかかります。
なお、ショッピングのリボ払いでは「利息」ではなく「手数料」と呼ばれます。契約上の違いはありますが、残高や支払期間が負担に関わる点は、前回の記事ともつながります。[2]
1万5,000円払っても、減るのは2,500円
ここからは、仕組みを見やすくするため、次の条件で計算します。
- 最初の元金は100万円、年率は15%で固定
- 月ごとの利息は「返済前の元金 × 15% ÷ 12」で計算
- 毎月の支払額には利息を含め、残りを元金の返済に充てる
- 追加の借入、延滞、別途の費用はない
- 利息の1円未満は毎月切り捨て、最終回は残額だけ支払う
実際の日割り計算を、毎月1.25%の計算に置き換えた比較用のモデルです。特定商品の返済額や最低支払額を示すものではありません。
まず、月1万5,000円ずつ支払う場合。
最初の月に発生する利息は、100万円 × 1.25%で1万2,500円です。
| 最初の支払いの内訳 | 金額 |
|---|---|
| 支払う金額 | 15,000円 |
| そのうち利息 | 12,500円 |
| 元金の返済に回る金額 | 2,500円 |
| 支払い後の元金 | 997,500円 |
銀行口座からは1万5,000円が出ていく。でも、借金の本体が減るのは2,500円だけです。
翌月は、残った99万7,500円に利息がかかります。元金が少し減った分だけ利息も下がりますが、最初のうちは支払いの大部分が利息に回ります。
このまま一年間、合計18万円を支払った結果は、次のとおりです。
元金が減った額は3万2,157円。支払った利息は14万7,843円。残高は96万7,843円。
18万円も払ったのに、残高はまだ約97万円。「ちゃんと払っているのに減らない」という感覚には、数字で説明できる理由があります。
月5,000円の差が、返済期間を大きく変える
では、毎月の支払額を変えるとどうなるのでしょうか。同じ100万円、年率15%のまま比べてみます。
| 毎月の支払額(利息込み) | 完済まで | 利息の合計 | 支払総額 |
|---|---|---|---|
| 15,000円 | 145回・12年1か月 | 1,163,337円 | 2,163,337円 |
| 20,000円 | 79回・6年7か月 | 579,052円 | 1,579,052円 |
| 30,000円 | 44回・3年8か月 | 301,674円 | 1,301,674円 |
※すべて上記条件による独自試算。最終回の支払額は通常月より少なくなります。
月1万5,000円から2万円へ、支払額を5,000円増やすと、完済までの期間は5年6か月短くなり、利息は58万4,285円少なくなります。
なぜ、毎月の差よりずっと大きな変化になるのでしょう。
最初の月の利息は、どちらも1万2,500円です。月1万5,000円なら元金に回るのは2,500円ですが、月2万円なら7,500円。支払額は約1.3倍でも、最初に減らせる元金は3倍になります。
元金が早く減れば、翌月以降の利息も小さくなる。同じ支払額のうち、さらに多くを元金に回せる。そして、利息を払う月そのものも減る。
逆に、毎月の支払額を小さくすると、当月の負担は軽くなるものの、元金が残る期間は長くなります。その間、利息はかかり続けます。
「毎月いくらなら払えるか」と「最後までにいくら払うか」は、別々に確認したい数字なのです。
これは「複利で借金が増えた」のか?
100万円を借りて、支払総額が200万円を超える。そう聞くと、利息に利息がついたのだと思うかもしれません。
でも、今回の計算では、利息を元金に足していません。
毎月発生した利息は、その月の支払いで全額払っています。元金も少しずつ減っています。それでも、12年以上払い続けた利息を足すと、借りた100万円を超えるのです。
複利とは、受け取った利息などを元金に組み入れ、その増えた元金に、さらに利息などがつく仕組みです。[3]
例えば、100万円に年5%の利息がつくなら、一年目の利息は5万円。その5万円も元金に加えれば、二年目は105万円に5%がかかり、利息は5万2,500円になります。
今回の借金の試算では、この「利息を元金に加える」処理をしていません。
複利でなくても、高い割合の利息を長く払い続ければ、負担は大きくなる。 ここは混同しやすいところです。実際の借入で未払いの利息をどう扱うかは、契約などの確認が必要です。
投資では味方になる「時間」が、借金では負担になる
投資の話では、「長期で運用して複利の効果を生かす」とよく言われます。金融庁も、利益を再投資することで、その利益がさらに利益を生む効果を説明しています。[4]
仮に100万円を毎年5%で運用でき、利益をすべて再投資したとすると、税金や費用を考えない10年後の金額は約162万8,895円です。利益を再投資せず、毎年5万円を受け取るだけなら、元金と受取利益の合計は150万円になります。
ただし、これは毎年5%が得られると仮定した計算です。株式や投資信託の利益は保証されておらず、元本割れもあります。[4]
一方、借入の利息は契約条件に従って発生します。「投資なら増えるかもしれない」と「借入残高に利息がかかる」は、同じ確かさの話ではありません。
そして、借金でも「時間が長いほど負担が大きくなる」からといって、必ず複利になっているわけではない。今回の例なら、長く残った元金に対して、毎月利息を支払うことが負担の正体です。
早く減らす意味は、来月の利息にもある
ここまで見ると、元金を早めに減らす意味も分かります。
今回のモデルで、ある月の利息計算前に元金を追加で10万円減らせたとします。すると、その月の利息は1,250円少なくなります。
10万円を返す効果は、残高表示が10万円小さくなることだけではありません。その10万円に、これからかかるはずだった利息も減らせます。実際の繰上返済では、返済日までの利息や手続き、費用の有無を契約先で確認する必要があります。[2]
もちろん、毎月の支払いを増やせばいいと言うのは簡単でも、生活費には限りがあります。ここで知っておきたいのは、「払える月額」だけでは見えない費用がある、ということです。
年率15%という数字だけを見ても、負担の大きさはつかみにくいものです。残高と毎月の返済額を並べると、初めてその働き方が見えてきます。
毎月1万5,000円を支払った。そのうち、借金そのものはいくら減ったのか。
「金利の悪魔」の正体は、見慣れない計算式の中というより、この二つの金額の間にあるのかもしれません。
参考資料
- 三井住友銀行「【カードローン】利息の計算方法について教えてほしい。」日割りの利息計算、利用日数の説明。本文の試算は同社商品の返済シミュレーションではなく、月単位に簡略化した独自計算です。
https://qa.smbc.co.jp/faq/show/9780?site_domain=default - 日本クレジット協会「リボ払いの特徴と利用上の注意」支払残高・手数料・支払期間、繰上返済に関する説明。
https://www.j-credit.or.jp/customer/basis/revolving.html - 知るぽると「複利とは」単利と複利の違い、利息を元金に組み入れる仕組み。
https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yogo/h/fukuri.html - 金融庁「資産形成の基本」利益の再投資と複利効果、金融商品のリスク。
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/invest/
資料確認日:2026年9月29日。返済表と運用例は、本文に記載した条件による余禄logの独自試算です。

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