本の裏表紙を眺めていると、バーコードが二つ並んでいます。
お菓子や飲み物では一つなのに、本はなぜ二つなのか。どちらも同じ本に付いているのだから、一つで済みそうな気がします。
調べてみると、上下には違う情報が入っていました。大まかにいえば、上は「どの本か」、下は「どんな分類で、いくらか」を表しています。[1]
あの二段は、日本で本を流通させるための、役割分担でした。
上のバーコードは、本を見分ける番号
まず上段に入っているのは、ISBNという番号です。日本語では「国際標準図書番号」といいます。
名前は少し堅いですが、要するに、出版物を取り違えずに識別するための番号です。世界共通の仕組みとして、本の取引や目録づくりに使われています。[2]
本を注文するとき、タイトルだけでは同じ名前の別の本と紛らわしいことがあります。出版社や発行形態まで区別できる番号があれば、「この本が欲しい」を正確に伝えられます。
ただし、一冊ずつに付く製造番号ではありません。同じ版・同じ発行形態の本なら、別々の人が持っていてもISBNは同じです。
そして、この番号自体には、その本の価格やジャンルは含まれていません。そこで、下のバーコードの出番です。
下のバーコードには、値段も入っている
日本ではISBNに加えて、分類を表す「Cコード」と、価格を表す記号を使います。これらを合わせたものが「日本図書コード」です。[2]
Cコードは、誰に向けた本なのか、どんな発行形態なのか、どんな内容なのかを、4桁の数字で表します。一般向けか専門家向けか、文庫か絵本か、といった情報です。[3]
下段には、その分類と税抜きの本体価格が入っています。裏表紙の「C」から始まる数字や、本体価格の表記は、バーコードと別々の話ではなかったのです。
| 位置 | 入っている主な情報 | 役割 |
|---|---|---|
| 上段 | ISBN | どの出版物かを識別する |
| 下段 | 分類記号・税抜き本体価格 | 日本の流通で使う分類と価格を伝える |
なお、下段だけを「JANコード」と呼ぶわけではありません。**上下二段を一組にしたものが「書籍JANコード」**です。[1][2]
二つなのは、世界共通の番号に日本の情報を足したから
つまり、日本の本の裏表紙には、世界共通の識別番号と、日本独自の分類・価格情報が並んでいます。その情報を機械で読み取れるよう、二段のバーコードにしたのが現在の形式です。
GS1 Japanによると、書籍JANコードは1990年3月に出版業界との合意で制定されました。書店の会計や棚卸しだけでなく、出版社と書店をつなぐ取次会社での出荷・返品処理にも使われています。[1]
読者から見ると、裏表紙の小さな模様。けれど、本が倉庫を出て書店に並ぶまでにも、出番があるわけです。
値段だけ変わったら、上の番号も変わる?
ここで、もう一つ気になります。
同じ本が増刷され、値段だけ変わったら、ISBNも取り直すのでしょうか。
日本図書コード管理センターの案内では、価格だけの変更ならISBNは変更しません。 価格記号を変更して、書籍JANコードを作り直します。[4]
たとえば、本体1,000円だった本が1,200円になっても、価格だけの変更ならISBNはそのまま。下段の価格情報が変わります。
「どの本か」と「いくらか」は、別の情報。値上げの場面を考えると、上下の違いが少し分かりやすくなります。
本を選ぶときは、表紙やタイトルに目が向きます。裏返しても、確認するのは値段くらいかもしれません。
でも、そのすぐそばには、本を見分け、分類し、届けるための情報も並んでいました。次に手元の本を裏返したら、二つのバーコードの数字を少し見比べてみたくなります。
参考資料
- GS1 Japan「書籍JANコード」— 二段の構成、1990年の制定、流通での利用。
https://www.gs1jp.org/code/jan_publication/ - 日本図書コード管理センター「ISBNと書籍JANコードとは」— ISBN、日本図書コード、書籍JANコードの関係。
https://isbn.jpo.or.jp/index.php/fix__about/fix__about_3/ - 日本出版インフラセンター・日本図書コード管理センター『ISBN(国際標準図書番号)および日本図書コード・書籍JANコード 利用の手引き 2025年版』— ISBNの付与規則、第3章の分類記号とコード体系。
https://isbn.jpo.or.jp/doc/ISBN_jp2025.pdf - 日本図書コード管理センター「ISBNの検算」— 価格のみ変更する場合のISBNと書籍JANコードの扱い。
https://isbn.jpo.or.jp/index.php/fix__calc_isbn/

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